鳥取大学工学部 鳥取大学大学院工学研究科 Faculty of Engineering, Tottori University / Graduate School of Engineering, Tottori University

2014年 卒業生

日亜化学工業株式会社
生産本部開発部

HIROKI NISHIO

西野 博貴

長崎県生まれ。

長崎県立佐世保西高等学校卒。

鳥取大学工学部物質工学科を卒業後、2014年、同大学大学院工学研究科修士課程修了。在学中に携帯電話などに使われる二次電池に関心を寄せ、その電極素材や機能性の高効率化に向けた素材研究を行う。就職後、技術・開発のあり方を職場から学んでいこうとしている。

電池の両極から「フォアグラウンド」へ。

勤務しているのは、徳島県に拠点を置く世界で初めて高光度(1カンデラ)の青色LED開発に成功した企業。ノーベル賞受賞者が在籍していた企業と言えばわかりやすいのかもしれない。蛍光体(電子線などを可視光に変換する物質)の開発や実用化では世界トップレベルの実績をもつ。でも、彼がいま夢中になっているのはLEDではなく、電池材料。それは大学で学んだベースに適うもののように思えた。

電池にある正極(+)と負極(-)。西野さんがいま所属しているのは「その正極材料にかかわる開発部門なんですが、まだ自分なりに、どこまで仕事ができているかどうか…。限られた時間の中で一定の成果が求められる責任を感じます」と、入社1年目が過ぎたばかりの率直な意気込み語る。

大学の学部3年の頃だった。「リチウムイオン電池(二次電池)の活用性が話題になっていて、それを勉強しようと思ったんです。ただ、大学で研究したのは負極の電池材料でした」。リチウムイオン電池は今や携帯モバイル機器やデジタルカメラ、はたまたハイブリッドやEV自動車、産業用エネルギー貯蔵の分野でも欠かせない。こうした電源の大元にある素材を相手に見つめていくうち、中途半端にやり過ごすことを戒めた。「ただのエンジニアではいけないと思って学部卒業後に大学院を選びました」と西野さん。

とはいえ就職後は正極の開発部門にいる。これじゃ、まるで正反対のようだが、西野さんは「(ことには)バックグラウンドがあると思います。そのことが、やっと実際に感じられるようになってきました」という。

たとえば、こう考えてみる。正極があって、その一方で負極があって、それらが何らかの相互作用で「光」とか「電気」が生まれている。正極だけではダメだし負極だけでもダメ。互いに両方を必要とする電池。極の互いを取りもつのは、いったい何なのだろう。いろいろと考えられるが、そうしたことも含めて西野さんは「バックグラウンド」の入り口に一歩を踏み出し、新たな「フォアグラウンド」につなげようとしている。

社会人としては「仕事にたずさわる姿勢とか、テクニカルなことについて先輩方の指導に教わることが多いのです」と話しながら「与えられた時間のなかで求められる課題に、どう対応していけばいいんだろうと思うと大変ですね」と、大学の研究室とは異質の切実さを感じている。

大学の研究室では「ものごとを考え提示する過程(筋道)について指導を受けた先生方からは、間違いだと思われることは“違う”ということをハッキリと指摘されました」と苦笑い。逆に頑張ればOKの評価に、手応えも大きく得られる浮き沈みのなかにいた。

今さら思うのは「ひとりでは無理なことがたくさんあると思います。大学でも職場でも、周りの人たちに支えられながら成長することのありがたさを感じます。大学生活では、学びたいこと、やりたいこと、厳しいことの一つひとつを大事にして、気力をもってじっくり向き合って臨んでほしい」こと。将来への糧をつかむために。

[取材:2015年2月]