鳥取大学工学部 鳥取大学大学院工学研究科/工学専攻 Faculty and Graduate School / Department of Engineering Tottori University

体験記 - 大谷 千晶

工学研究科(博士前期)化学・生物応用工学専攻 生物応用工学コース 1年

氏名
大谷 千晶
配属先研究室
Gonzalez research group
研究テーマ
Adipic acid production from glucose
留学期間
平成28年8月12日~平成29年3月31日

私は、「グルコースを用いたアジピン酸の生産」に関するプロジェクトに携わらせていただきました。研究テーマに関しては、出国前に担当教員から提案を頂き、決めて頂きました。具体的に行っていたことは、大腸菌のゲノム編集などを用いて、アジピン酸の生産に最適な遺伝子や、培養条件の検討を行っていました。学問分野としては代謝工学や、合成生物学などの分野です。

鳥取大学では、同じく微生物を扱っていますが異なる分野の研究であったため、一部の実験技術以外はゼロから学ぶ必要がありました。しかし、事前に論文を頂き、指導してくれる学生(メンター)、周りの学生や研究員たちに教えてもらいながら進めることができたので一つ一つ学ぶことができました。加えて、彼らが実験を効率的に進めるために各々が工夫している点なども見ることができ、このことは今でも自身の実験に役立っています。

アメリカでは、一つのプロジェクトを複数人で進めていきます。私は、メンターと二人で、わからないことは相談し、指導教員ともディスカッションをしながら進めていきました。加えて日本より、自分自身の考えを求められることが多かったように思います。

平日は、朝8時ごろに起きてお弁当を作って、最初は路面電車と徒歩で30分ほど、途中からはルームメイトの車に乗せてもらって15分ほどかけて通学していました。そして、9時ごろから実験をはじめ、お昼はラウンジで研究室の仲間とお昼を食べていました。そして実験を再開し、7時ごろにジムに行き、9時ごろに帰宅し夜ご飯を食べて就寝するような1日でした。

休日は、大体研究室に行っていました。しかし、頻繁に友人たちとご飯を食べに出かけてその後誰かの家で集まっていました。時間があるときには友人のいるテキサス州のダラスへ行き、卒業式に出たり、他の州にいるトビタテ生に会いに行ったりしていました。都市によって、影響を受けている文化などが大きく違ったためアメリカの人種や文化の豊かさを知ることができました。

留学開始後しばらくは、話すスピードや様々な国の独特なアクセントについていくことができず、コミュニケーションをとるのにとても苦労しました。特に大勢で集まった時には、会話に加わることが難しく黙って座っていることが多かったです。しかし、実験中はもちろんお昼ご飯の時間や遊びに行った際に積極的に話をすることを繰り返すことで5か月ほど経つ頃にはスムーズにコミュニケーションができるようになりました。

このプログラムに参加してよかったことは、以下の3つです。

1. アメリカの大学院を実際に知ることができ、Ph.D.の学生たちの生活や考えを身近で知ることができたこと

日本の大学と違い、アメリカは学内外から経済的な支援を受けることができ、学業に専念することができます。また学生たちは国籍はもちろんのこと、学部での専攻や年齢が様々だったことから興味のあることを必要な時期を柔軟に選択し、大学院に進学しているという印象を受けました。加えて日本よりも生活にメリハリを持ちながら日々を過ごしている人が多く、日々顔をあわせる人々の顔が明るかったように思います。もちろんその分勉強量や、課題が多いなど日本以上に大変なことも多く、しっかりと自身のやりたいことを考え、学校や専攻を選ばなければいけないのだということも感じました。

2. 日本の素晴らしさに気づけたこと

日本製品ももちろんですが、日本人が周りと調和をとりながらものごとを進めていこうとする姿勢や、物事を正確に進めていくことなど、これまでは気づくことのできなかった日本や日本人独自の良さに改めて気づくことができ、自分の生まれた国に誇りを持つようになりました。

3. 英語が“使えるように”なったこと

これまでの生活で英語を使うといえば、論文を読む時ぐらいでコミュニケーションツールとしては使うことができませんでした。しかし、たくさんの悔しい経験を経て言いたいことはおおむね伝えることができ、専門分野ならばディスカッションができるレベルにまで向上させることができました。今回の経験を経て得られた語学力によって自分の将来を“日本”だけから選ぶのではなく、“世界”から自然と選ぼうとするようになりました。自分の考えや、やりたいことに合わせて、世界中から環境を選ぶことができるようになったことは英語ができる人が得られる大きなアドバンテージだと思います。

今回はこれまでの派遣の中で最長の8ヵ月という期間でしたが、それでも短い、と私は思いました。研究、生活面両方でつらいこともたくさんありましたが、失敗や挫折を含めたすべての経験や出会いが自分を大きく成長させてくれたと感じています。今後もその学びを学業や、その後の人生に活かし、努力をしていきます。