鳥取大学工学部 鳥取大学大学院工学研究科 Faculty of Engineering, Tottori University / Graduate School of Engineering, Tottori University

情報エレクトロニクス専攻 教授 近藤克哉

電気情報系学科
情報エレクトロニクス専攻 教授

KATSUYA KONDO

近藤 克哉

1966年、兵庫県生まれ。

工学博士。慶應義塾大学卒。通商産業省(現・経済産業省)特許庁、兵庫県立大学大学院准教授を経て08年、鳥取大学に赴任。この間、日本学術振興会特別研究員、The Robotics Institute(Carnegie Mellon Univ.,USA)の世界をリードする研究所での客員研究を通じ、工学の魅力と未来の可能性を再認識する。その経験をもとに学生との議論を第一に考え、発見のプロセスをふまえて達成感につながる指導を目指す。そのためにもアイデアを形にする際、発想や思考を促すようにコンピュータのインターフェイスを工夫しながら本質を探り、応用に強い卒業生の輩出に力を入れている。

これまで電子情報通信学会ゲスト編集委員長や国際会議論文委員長なども務め、11年に日本伝熱学会学術賞を受賞。

「眼」をもったコンピュータの“頭脳”を追究。

画像から、多くの情報を読み取り解析する。

ロボットが状況を認識して自律的に作動するシーンは、SF映画の世界だけではなく、現実にさまざまな分野で見られる。工業用ロボットは数知れず、ホンダの「アシモ」だってすばらしい活躍ぶりだ。これらのロボットは必ずセンサーをもち、感知した情報をコンピュータで高速処理している。その一つに映像(画像)処理技術がある。近藤克哉教授の研究は、カメラや顕微鏡などでとらえられる画像情報のコンピュータ処理技術(コンピュータビジョン)を、どう発展させるかがテーマだ。

「人間でいうと眼=視覚と脳=の部分に着目しています」と教授。人間の眼は、ただものを見る(映し出す)ためだけで完結してはいない。見たものや、見ようとするもの、見なければならないというものも含めて、絶えず不断の認識として受け入れ、考えて次の思考や行動へとつなげている。こうした一連の流れを汲み取って教授は、コンピュータの情報処理に一定のアルゴリズムを設定し「見て(観て)=画像で得られる情報に対して=解釈する作業」をコンピュータで自動に行わせる技術を模索し「バイオ画像解析」や「計測制御システム」の開発に役立てようとしている。

たとえば、こんなふうに考えてみてはどうだろう。……誰もいない研究室に不審な人物が侵入し、部屋の中を動いている。それを、あらかじめ設置しておいた監視カメラが映像記録に残している…としよう。カメラ映像には、さまざまな情報が含まれている。不審人物の容姿はもとより行動経路(足跡)や所作、顔の輪郭、髭のあるなし、視線の向きなどなど。不審人物とそうでない人物とはその態様・振る舞いが違う。被映像体からコンピュータが自動で読み解く処理ができれば、犯罪発見の一助になるかもしれない。この技術を使えば、ショッピングモールでのマーケティング調査を、コンピュータが自動で行うこともできる。さらには、アメリカの研究所では人のハンドル操作が不要な完全オートメーションの車が走っている。もう夢物語ではなく、生活の中に入るもうそこまで来ているのだ。

問題を見つけ、それを解決していく能力を鍛えよう。

もっとも、人間が備える知覚と思考・判断や行動を、まるっきりコンピュータやロボットに委ねるのは問題が多い。事故が起こったら「コンピュータのせいにすればよい」というわけには、すんなりいかないのだ。

しかし教授は言う。「そうした問題は、なぜあるのだろうか。その問題に対して、どう対処していけばいいかを学生の皆さんは考えていく訓練をしてほしい。その過程が、すごく後々に重要になってくると思います」。

電子顕微鏡から宇宙に向けた電波望遠鏡、身近なところでは医療用の画像診断など「人の眼」に伝えられる画像情報は欠かせないだけに、その情報処理技術も情報ソースに忠実な高度な精度と利用法が求められている。

「研究室でやったことがうまくいったからといって、それが社会に本当に役立つかどうかは分からない。そうしたことを、学生のうちに友人や教員としっかりディスカッションして、夢をもって卒業していただきたい」と、教授は学生にエールを送る。

※平成23年度鳥取大学案内に『スーパーティーチャー』として掲載