鳥取大学工学部 鳥取大学大学院工学研究科 Faculty of Engineering, Tottori University / Graduate School of Engineering, Tottori University

社会基盤工学専攻 教授 山田茂

社会システム土木系学科
社会基盤工学専攻 教授

SHIGERU YAMADA

山田 茂

1952年、広島県生まれ。

工学博士。77年、広島大学大学院工学研究科修士課程修了。同年~80年、日本電装(現・デンソー)に勤務。83年広島大学大学院工学研究科博士課程修了。広島大学工学部助教授を経て93年、鳥取大学工学部社会開発システム工学科教授。08年より部局化により大学院工学研究科社会経営工学講座所属。

ソフトウエアを中心に、信頼性工学、品質管理、プロジェクトマネジメントに斬新な方法論を提出し、国内外で評価されて多くの受賞歴をもつ。また、500を超える査読付論文が主要な学会や国際会議で採択されるとともに、多くの国際会議においてキーノート・招待講演を実施している。主著として「ソフトウェア信頼性-モデリングアプローチ-」(共立出版)、「品質指向ソフトウェアマネジメント」(森北出版)、「ソフトウェアマネジメントモデル入門」(共立出版)、「プロジェクトマネジメント」(共立出版)等がある。

ソフトウエアの品質・信頼性向上を、生産工程から検証する新しい評価モデルを追究。

劣化しないソフト。しかし、進化が求められるソフトの位置づけ。

さまざまなモノ(目に見えたり肌で触って感じる有形物質)とは別に、私たちは実際には目に見えないもの、形とか姿を体の感触では捉えにくいものにも影響されており、それらすべての恩恵を受けている。極端にいえば、さまざまな無数のハードウエアとソフトウエアのなかで生きているのだ。新しく売り出された自動車もやがては廃車になる。そのように金属も電子・電気部品や、それらの構築物(ハードウエア)も決まって劣化する。ところでソフトウエアの方は、どうだろう。

たとえば情報システムを司るソフトウエアについて山田茂教授は「(良くも悪くも)劣化しない」という。既定のソフトは劣化しないが、それゆえに進化もしない。しかし実際、ソフトはいつも更新されている。そこで“進化していくソフト”を構築し、その適合性を検証するための手段として私たちは何を参考にしていけばいいのだろうか。この問題について教授は「ソフトウエア信頼性工学」の分野で研究している。

JR東日本などで利用されている乗車カード「スイカ(Suica)」、最新の自動車に組み込まれている制御・制動装置、金融取引での端末とホストとの関係。これらは、すべてソフトウエアを抜きにして稼働しない。ひとたび、そのソフトがバグ(欠陥)により故障を起こすと大変な社会的影響をもたらすことは、さまざまなニュースで知られる。

バグ(欠陥)は多くの場合、人為的なミスで起こりやすい。

「私が、もっとも意識しているのは結局、品質なんですね。工業製品については分野ごとに品質についての考えや手法が違うかもしれませんが、それでもやはり共通性はある」と教授。

とくに目に見えない製品を生産するソフトウエア産業の世界では、その製品の品質がどのように保たれているのかが、ユーザーにとっては極めて分かりづらい。これを、ソフトがつくられる初期段階(要求仕様定義=ニーズ把握)から基本設計、詳細設計、コ―ディング(プログラミング)、さらにトータルな製品テストまでの工程を細かく分析し、各段階におけるレビュー(中間製品検査と評価)の仕方や、市場に送り出された最終製品の発生バグからソフトの品質・信頼性を定量的に測る評価モデルを探究している。

工業製品の生産現場での経験をもつ教授は「多くの場合、バグは設計エラーか人為的なミスで起こりやすい」という。その指摘は、製造現場でもっとも求められているQCD(クオリティー、コスト、デリバリー)に基づいていて、ソフト開発の分野に新しい品質向上の考え方を提出している。

研究室は「5S」の標語を掲げている。「整理」「整とん」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」の五つの頭文字。身の周りの小さいことから発想を広げてもらいたいという思いからだ。

※平成24年度鳥取大学案内に『スーパーティーチャー』として掲載