絵画







彫刻










令和5年1月27日
工学部長 坂口裕樹
この度、工学部の事務室を入ったところに「池本恵鳥氏(1906~1992)」の絵画や彫塑を展示いたしました。同氏は地域学部の前身(教育学部のさらに前)の学芸学部の教授を務められた本学ゆかりの芸術家です。ご遺族が作品を本学へ寄贈したいと申し出られたことがきっかけで、その一部(絵画7作品、彫塑10作品)を本学部で引き取らせていただく幸運に恵まれました。この実現にあたっては、地域学部附属芸術文化センターの筒井宏樹先生に様々なご支援を賜りましたし、事務方にもご尽力いただきました。また、名作を飾るにふさわしいものをとディスプレイ棚にもこだわりたいと思い、その趣意をお伝えして工学部附属ものづくり教育実践センターに本品を作っていただきました。このように、本プチミュージアムの誕生が学部をまたいだ共創であることも喜ばしいことと思っています。
Society 5.0は我が国が目指すべき未来社会像ですが、それを実現するための人材をSTEAM教育を通じて育成しようとの考え方があります。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念を指します。私もつねづね科学や工学には“Art”のセンスも必要だと考えていましたので、特に学生さんにはできるだけ本物を観ていただける環境作りをしたいと願っていました。池本氏の作品からは芸術に新しい息吹を吹き込んだ印象派やピカソの影響が感じられます(私見です)。色使いや造形美もさることながら、当時の鳥取にいながらも世界の潮流を意識し思想や技法を取り入れていた点などわれわれが学ぶべきことも大いにあると思いますので、じっくり鑑賞して何かを吸収していただければと思っています。
左から筒井宏樹地域学部附属芸術文化センター准教授、坂口裕樹工学部長、中島廣光学長、池本恵鳥氏遺族の方々
いけもと・けいちょう。1906年生まれ、1992年没。
鳥取県八頭郡船岡町西谷生まれ。本名は恵治。鳥取師範学校手工科訓導拝命後、小学校教員、鳥取第一中学校(現・鳥取西高等学校)教諭、米子航空機乗員養成所教諭、鳥取師範学校教員(1946-49年)を経て、鳥取大学学芸学部(教育学部)教授(1949-71年)を歴任した。
彫塑、工芸、金工、木工を専門敏、中国文化賞(中国新聞社)受賞(1963年)、鳥取市制93周年造形芸術功労賞受賞(1972年)など、その作品も高い評価を得てきた。また、移転前の旧鳥取大学キャンパス正門を設計している。研究活動として「美術教育における造形能力を高めるための構造分析」(「美術教育」1965年)などの論文を発表した。鉋刃裏出器実用新案(1936年)、鉋刃研磨器実用新案(1937年)の特許を登録。