鳥取大学工学部 鳥取大学大学院工学研究科/工学専攻 Faculty and Graduate School / Department of Engineering Tottori University

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化学バイオコース 准教授 日野 智也

日野 智也

化学バイオ系学科/化学バイオコース 准教授

HINO TOMOYA

日野 智也

1974年、愛知県知多市生まれ。

博士(理学)。愛知県立横須賀高等学校卒。名古屋大学理学部物理学科卒。同大学大学院理学研究科物質理学専攻博士前期・後期課程修了後、理化学研究所、科学技術振興機構(JST)などの研究員を経て、2011年鳥取大学大学院工学研究科生物応用工学専攻講師に就任。15年、同准教授。

コーヒー好きで、研究の合間に飲んでリフレッシュ。グラインダーで豆を挽き、丁寧にハンドドリップ。夏は冷たい水出しコーヒーで暑気を払う。

“自分にしかできない”ことをしたいから、生命を支える「膜タンパク質」の未知に挑む!

創薬を目指し、原子レベルで膜タンパク質を解析。

私たちの身体は、たくさんの細胞でできている。その細胞内では、多種多様なタンパク質がそれぞれ固有の立体構造をとり、様々な働きを担うことで生命活動を支えている。中でも、細胞を覆っている生体膜に存在する「膜タンパク質」は、細胞の外側で起こっている変化を内部へ伝えたり、栄養素などを取り入れたりと、細胞内に外部の情報を伝達する重要な役割を担っている。ゆえに膜タンパク質は、医薬品のターゲットとされることが多い。その立体構造の解析や、どのような環境変化でどんな反応を示すのかを解明することが、既存薬の改良や新薬開発の手がかりとなるのだ。

そこで日野智也准教授は、温度変化に反応し皮膚のバリア機能や炎症に関連するもの、あるいは脳浮腫や肺水腫など体内の異常な水分貯留に関与するような膜タンパク質に着目し、クライオ電子顕微鏡やX線結晶構造解析を駆使して、原子レベルで構造や変化を解析することに力を注いでいる。目指すのは、解明した構造情報を活かして目的に合わせた分子設計を実現し、難治性疾患の治療薬創出へとつなげることだ。

飽くなき好奇心、研究は難しいほど楽しい。

しかし、タンパク質は構造や機能を簡単には見せてくれない。構造解析を行うには、まず目的のタンパク質を良好な状態で調製する必要がある。さらにX線結晶構造解析では、タンパク質ごとに異なる結晶化の条件を探らなければならず、解析に適した大きさ・質の結晶作製だけでも相当な時間を要する。地道な作業の連続で、簡単にはいかない研究だが、日野准教授は「難しいことをクリアすることが一番の楽しみ」と笑う。

高校生の頃から、物理現象の原理や法則、物質の成り立ちや仕組みを知りたいという知的好奇心が強かった。核融合や常温超伝導などに興味があり、大学は理学部物理学科へ。4年生までは生物学や化学とは無縁だったという。変化が訪れたのは研究室配属のタイミング。同学科に膜タンパク質の構造解析をする生物物理の研究室があり、「面白そう」と飛び込んだ。今後はバイオ分野が強くなるだろうという声が大きくなっていた時代背景に加え、「難しいと分かっていても、達成できたらものすごくインパクトがある。社会に役立つ研究にチャレンジしたい」と思ったからだ。以来、この分野に没頭している。

「苦労も多いけど、今まで誰も知らなかったことを一番に知ることができる。誰よりも早く明らかにして、世界で最初にその答えを知る瞬間を楽しみたい」と、少年のように瞳を輝かせた。

※令和8年9月掲載