鳥取大学工学部 鳥取大学大学院工学研究科/工学専攻 Faculty and Graduate School / Department of Engineering Tottori University

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機械宇宙工学コース 教授 葛山 浩

葛山 浩

機械物理系学科/機械宇宙工学コース 教授

KATSURAYAMA HIROSHI

葛山 浩

1975年、三重県桑名市生まれ。

博士(工学)。三重県立桑名高等学校卒。2000年、名古屋大学大学院工学研究研科修士課程航空宇宙学専攻修了。05年、東京大学大学院工学系研究科博士課程航空宇宙工学専攻修了。宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究員、山口大学創成科学研究科准教授などを経て、21年より現職。

大学入学後、転学部を考えるほど勉強に悩む。「まだ一生懸命やっていないのに、合っているかどうか分からない」という親の言葉に納得、集中して取り組むと途端に面白くなった。「何事もすぐに諦めず、とことんやってみることが大事」

宇宙へのアクセスをより安全に、リーズナブルに。
視点を変えたアイデアで描く未来。

大気圏突入を守る、電磁力シールドの新技術開発。

小学生の頃、NASAの惑星探査機「ボイジャー」から届いた宇宙の様子がTV放映されるたび、胸を躍らせた。高3の時には日本初の純国産大型ロケット「H-IIAロケット」が打ち上げられ、航空宇宙工学への興味が膨らんだ。

そんな葛山浩教授が注力しているのは、宇宙船が大気圏に突入する際の熱防御技術「電磁力エアロブレーキング」の研究だ。大気圏突入時、機体前方には約8千℃の高温のプラズマが発生する。そのプラズマから機体を守るため、耐熱タイルや、樹脂が溶けて蒸発する気化熱で表面温度上昇を下げるアブレーターを使うが、再利用性の無さ、安全性の低さが問題となっている。

そこで考えたのが、“熱に耐える”のではなく、電気を通すプラズマの流れを制御することで“加熱を避ける”という、これまでとは全く違う発想。機体に磁石を搭載して周りに磁場を張って前方のプラズマに電磁力を発生させ、それによって高温のプラズマを機体から遠ざけるというもの。また、反力が発生して、加熱の原因となっている機体のスピードを落とすことができるので、加熱そのものを小さくすることもできる。言ってみれば、機体の前方に磁場による、見えないシールドを張っているようなものなのだ。

小型ロケットによる実証実験へ、熱きチャレンジ!

鳥取大学には「プラズマ風洞」という装置があり、それを使用して実験を行っている。宇宙環境を模擬した真空の容器中にプラズマを超高速で吐出し、大気圏突入と同じ環境をつくり出す。磁場を印加して高温のプラズマを前方に押し退ける状況を再現できるかどうか、さらには、プラズマの状況を変えたら電磁力発生の様子がどのように変わるかを調べている。JAXAへ出かけ、高温衝撃風洞「HIEST」で試験を行うこともあるとか。

昔は、同分野を数値解析で研究していた。しかし、実験をするようになると、計算だけでは不十分だということに気付いた。新たな発見は、計算と実験の結果が異なるときに見つかることがよくあるからだ。両輪が機能することの大切さを実感しているという。

この技術が本当に役立つものなのか、もっと大きな実験が計画されている。JAXAの小型観測ロケットの打ち上げで、電磁力エアロブレーキングの実証実験を行うプロジェクトが進行中なのだ。葛山教授の宇宙推進工学研究室を中心に、東京大学、東京都立大学、静岡大学、室蘭工業大学と共に数年後の実現を目指している。少年の頃に感じた“ワクワク”の続きが今、プラズマのように熱く明るく燃えようとしている。

※令和8年9月掲載